○日南町男女共同参画推進条例
(平成25年3月25日条例第5号)
目次

第1章 総則(第1条-第8条)
第2章 基本的施策(第9条-第15条)
第3章 日南町男女共同参画推進委員会(第16条-第19条)
第4章 雑則(第20条)
附則

女性と男性は、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法に基づき、平等に人権を尊重されなければなりません。
 日南町では、日南町基本的人権の擁護に関する条例(平成6年12月26日条例第30号)を制定し、人権を尊重したまちづくりを推進してきました。男女共同参画についても、平成20年に第2次日南町男女共同参画推進計画を策定し、国及び鳥取県の施策とも連携しながら、男女共同参画社会の実現へ向けて取り組んできました。
 しかしながら、性別による役割分担意識や慣習は、時代とともに変わりつつあるものの、家庭をはじめ職場、そして地域の中にも依然として残っています。本町は女性の就業率も高く、社会の一員として誇りを持って働く女性も多くいます。また、少子化が進んできているとはいえ、県下でも合計特殊出生率は高く、育児、介護の面などで男女共同で取り組むことが必要です。
 日南町には、すばらしい文化と歴史や自然環境があり、地域ではそれらを生かしたまちづくりも行われています。少子高齢化が進むわが町においては、さらに地域力を高め、地域の活性化を進めていくためにも、男女の別なく様々な分野に共同参画社会の実現が求められています。 
 このような現状を踏まえ、「男女が互いに認め合い、支えあい、一人ひとりが輝いて生きていくまち日南町」を目指し、日南町男女共同参画推進条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の実現に向けて基本理念を定め、実現すべき姿並びに町、町民、事業者等の役割を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施することにより、だれもが心豊かにいきいきと暮らせる男女共同参画社会を実現することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例で使う用語の意味を次のように定めます。
(1) 男女共同参画 女性と男性が、個人として尊重されるとともに、性別にとらわれることなく、個性と能力を十分に発揮できる機会が確保されることにより、社会のあらゆる分野において対等に活動し、かつ、責任を分かち合うことをいいます。
(2) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいいます。
(3) 事業者等 営利、非営利を問わず町内で事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいいます。
(4) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野において、活動に参画できる機会の男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、参画する機会を積極的に提供することをいいます。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる社会を基本理念として推進されなければなりません。
(1) 男女が、性別にかかわりなく、人権が尊重される社会
(2) 男女が、性別による差別を受けない社会
(3) 男女が、互いの性に関する理解を深め、妊娠、出産など性と生殖について、互いの意思や決定が尊重され、生涯にわたり健康な生活を営むことのできる社会
(4) 男女が、性別による固定的な役割分担意識に影響されることがなく、自らの意思で自由に活動できる社会
(5) 男女が、社会のあらゆる分野で、個性と能力を十分に発揮できる社会
(6) 男女が、家事や育児、介護などの家庭生活における活動の中で、互いが協力し合い対等な役割を担う社会
(7) 男女が、政治活動、経済活動、地域活動など、あらゆる社会活動に対等な立場で参画し、かつ、共に責任を担う社会
(実現すべき姿)
第4条 町、町民及び事業者等は、次に掲げる事項を男女共同参画によるまちづくりに当たっての実現すべき姿として、これに努めるものとします。
(1) 家庭において実現すべき姿
ア 「男だから」・「女だから」といった性別ではなく、それぞれの個性を重視し、「その人らしさ」を大切にする家庭になること。
イ 家族一人ひとりが多様な生き方を選択でき、その能力、適性をみんなが認め合い、明るく充実した家庭になること。
ウ 「男は仕事」・「女は家庭」の意識を超えて、家事、育児、介護などの家庭の営みに家族全員がかかわり、苦楽をともに分かち合い、家族のつながりが深まること。
(2) 職場において実現すべき姿
ア 個人の意欲、個性などが合理的かつ適切に評価され、採用、配置などについて性別を理由とする差別がない、いきいきとした職場になること。
イ 効率的かつ効果的な労働によって、長時間労働やストレスがたまる職場環境の改善が図られ、家庭生活や地域活動が、活力とゆとりのある充実したものとなること。
ウ 育児休業や介護休業を男女等しく積極的に取得できるようになるなど、仕事と家庭が両立するようになること。
エ セクシュアル・ハラスメントのない、快適で安心して仕事ができる職場環境が作られること。
(3) 学習・教育により実現すべき姿
ア 「男の子だから」・「女の子だから」という性別にとらわれない、それぞれの個性や人権を大切にする子供が育つこと。
イ 進学や就職などにおいて、性別にとらわれない、個人の能力や適性を考慮した選択が尊重されること。
ウ 家庭、職場、学校、地域などにおいて、性別にとらわれない係や当番などの役割分担が行われること。
(4) 地域において実現すべき姿
ア 男女が連帯して地域の活動に参画し、企画や実践にかかわることによって生きがいと活力のあるまちづくりが進められること。
イ 古い慣習、しきたりなどの制約を見直し、男女の相互理解によってそれぞれの行動や考え方が尊重され、意思が決定されること。
ウ あらゆる人の人権が尊重され、差別のない心豊かな地域社会が作られること。
(5) 農林業の分野において実現すべき姿
農林業に従事している男女がともに、経営に参画するなど性別の垣根を越えた支えあう農林業を推進することにより、家族みんなが、やりがいを持てること。
そして、農林業に誇りと夢を持ち、その良さを子どもに伝えること。
(町の役割)
第5条 町は、この条例の基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置に関するものを含みます。以下同じです。)を策定し、実施しなければなりません。
2 町は、男女共同参画の推進に当たっては、町民、事業者等、国及び他の地方公共団体と連携し、協働して取り組むよう努めなければなりません。
(町民の役割)
第6条 町民は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に自ら積極的に取り組むよう努めなければなりません。
2 町民は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければなりません。
(事業者等の役割)
第7条 事業者等は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する理解を深め、その事業活動において、男女共同参画の推進に努めなければなりません。
2 事業者等は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければなりません。
(性別による権利侵害の禁止)
第8条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、男女共同参画の推進を妨げる次の行為を行ってはなりません。
(1) 性別による差別的取り扱い
(2) 性的な言動により相手方の生活環境を害する行為又は相手方に不利益を与える行為
(3) 配偶者等に対する身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為
第2章 基本的施策
(男女共同参画推進計画)
第9条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項の規定に基づく基本的な計画(以下「男女共同参画推進計画」といいます。)を策定するものとします。
2 町は、男女共同参画推進計画の策定及び変更に当たっては、広く町民等の意見が反映されるよう努めるものとします。
3 町は、男女共同参画推進計画を定めたときは、速やかに、これを公表するものとします。
(理解を深めるための措置)
第10条 町は、町民及び事業者等が男女共同参画に関する理解を深めるため、必要な情報収集及び調査研究を行い、広報活動など必要な措置を講ずるものとします。
(町民への支援)
第11条 町は、町民が行う男女共同参画の推進に関する活動に対し、情報の提供、学習機会の提供その他の必要な支援を行うものとします。
2 町は、男女が共に家庭生活と職場、地域などにおける活動の両立を可能とするため、必要な支援を行うものとします。
(雇用の分野における男女共同参画の推進)
第12条 町は、事業者等に対し、雇用の分野において男女共同参画が推進されるよう、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めます。
2 町は、必要があると認めるときは、事業者等に対し、男女共同参画の推進に関する広報活動及び調査の実施について協力を求めることができます。
3 町は、必要があると認めるときは、事業者等に対し、男女共同参画の推進に関し報告を求め、及び適切な措置を講ずるよう協力を求めることができます。
(相談等の対応)
第13条 町は、性別による差別的取り扱いなどの男女共同参画を阻害する要因による問題に関し町民等から申し出があった場合は、関係機関等と連携をとりながら適切に対応するよう努めなければなりません。
(附属機関等の委員の構成)
第14条 町は、審議会などの委員を委嘱し、又は任命する場合は、男女の数の均衡を図るよう努めるものとします。
(年次報告)
第15条 町は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、報告書を作成し、これを公表するものとします。
第3章 日南町男女共同参画推進委員会
(委員会の設置)
第16条 日南町男女共同参画推進計画の策定その他男女共同参画に関する重要事項を調査審議するため、日南町男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を設置します。
2 委員会は、施策の基本的事項及び重要事項について町長に意見を述べることができます。
(組織)
第17条 委員会は、委員16人以内で組織します。
2 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはなりません。
3 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
4 委員は、再任されることができます。
(会長及び副会長)
第18条 委員会に、会長及び副会長1人を置き、委員の互選により選任します。
2 会長は、会務を総理し、委員会を代表します。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理します。
(会議)
第19条 委員会の会議(以下「会議」といいます。)は、会長が招集し、会長が議長となります。
2 委員会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができません。
第4章 雑則
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行します。
(経過措置)
2 第17条第3項の規定にかかわらず、この条例の施行後初めて委嘱される委員の任期は、平成26年3月31日までとします。