○丸亀市障がいのある人の情報保障及びコミュニケーション手段の利用促進に関する条例
(令和3年3月29日条例第7号)
 私たちが充実した日常生活を営む上で、周囲の人とコミュニケーションを図ることは欠かすことのできないものであります。
 平成26年1月に国が批准した「障害者の権利に関する条約」において定義されたように、コミュニケーション手段は、音声言語、手話、文字表記、点字、拡大文字、平易な言葉など多様なものがあります。しかしながら本市においてはこのようなコミュニケーション手段に対する市民の理解が十分に進んでいるとは言えず、障がいのある人もない人もお互いにコミュニケーションを図ることの困難さを経験しています。
 また、私たちは日常生活の様々な場面において、音声や文字などから情報を取得していますが、障がいのある人はその障がいの特性から情報の取得が十分にできないことがあります。
 このような状況の下、私たちは、多様な手段によるコミュニケーションを円滑に行い、十分な情報を取得することの重要性を再認識し、全ての市民がお互いの理解を深め、誰もが安心して安全に暮らすことのできる社会を実現するため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、障がいのある人の情報保障及びコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本的な方針を定めることにより、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の普及及び利用を促進し、全ての市民が共存することのできる地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)、難病を原因とする障がいその他心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(2) 情報保障 障がいのある人もない人と同等の情報を得ることができ、自ら選択する言語その他のコミュニケーション手段により円滑に情報を取得し、又は利用できる環境を整えることをいう。
(3) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段 手話、要約筆記、代筆、代読、情報通信機器の使用、筆談、文字表示、点字、音訳、拡大文字、触手話、指点字、ひらがな表記、サイン、写真、絵図等の障がいの特性に応じて利用される意思等の伝達手段をいう。
(4) コミュニケーション支援者 手話通訳士・者、要約筆記者、点訳者、音訳者(朗読者を含む。)、ガイドヘルパーその他障がいのある人のコミュニケーションを支援し、又は補助する者をいう。
(5) 社会的障壁 障がいのある人が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念等をいう。
(6) 合理的配慮 社会的障壁を取り除くことが必要とされる場合で、その実施に伴う負担が過重でないときに行われる適切な調整及び変更をいう。
(7) 市民 市内に住み、働き、学ぶ者をいう。
(8) 事業者 市内において営利又は非営利を問わず事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 障がいのある人もない人も情報を取得し、及びコミュニケーションを円滑に行う権利は、最大限に尊重されなければならない。
2 情報保障並びに障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進は、障がいのある人とない人が互いの人格と個性を尊重することを基本として行わなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解及び利用を促進するとともに、障がいのある人が円滑な情報取得及びコミュニケーション手段を利用できるようにするための環境の整備に必要な施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進のため、障がいのある人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備等の合理的配慮を提供するよう努めるとともに、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(施策の推進)
第7条 市は、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用しやすい環境の整備及び利用促進のため、次に掲げる施策を総合的に推進するものとする。
(1) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段への理解の拡大並びにこれらの普及啓発及び利用促進に関する施策
(2) 障がいのある人もない人も安心してコミュニケーション手段を利用できる環境の整備に関する施策
(3) コミュニケーション支援者の養成、研修、派遣及び設置に関する施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
2 市は、前項各号の施策を推進するときは、障がいのある人その他関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。
(財政上の措置)
第8条 市は、前条第1項各号に掲げる施策を推進するために、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。