○丸亀市手話言語条例
(令和3年3月29日条例第6号)
 言語は、人の意思や思想、感情などを相手に伝え、また相手のそれを受け入れ、理解して社会生活を営む上で必要な意思伝達の手段であり、社会生活や文化活動に必要不可欠なものです。
 手話は、音声を使わず、手や指の動き、顔の表情、口の動きなど、身体全体の動きによって表現される視覚的言語です。
 ろう者は、物事を考え、意思の疎通を図ったり、お互いの気持ちを理解し合うために、また、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできました。
 障害者の権利に関する条約や障害者基本法の中で、手話は言語であると位置づけられましたが、それに対する理解や啓発、環境整備は、いまだ十分ではありません。
 本市は、市民がお互いに個人として尊重されるとともに、自らの意思と責任に基づいて主体的に行動することを自治の基本理念とし、市民の誰もが主役となるまちを目指しています。そうした中で、本市でも手話が言語であるという認識を基に、障がいの有無によって分け隔てられることなく、手話の理解や広がりをもって相互に尊重し合い、共生する社会の実現を目指し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解及び普及並びに地域において手話を使用しやすい環境の整備に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての市民が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 手話 手、指、体若しくは顔の部位の動き又は表情を使って視覚的に表現する言語をいう。
(2) 市民 市内に住み、働き、学ぶ者をいう。
(3) ろう者 聴覚に障がいのある者のうち、手話を言語として、日常生活及び社会生活を営むものをいう。
(4) 事業者 市内において営利又は非営利を問わず事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進と手話の普及を図り、手話による円滑な意思疎通が図りやすい社会を構築するものとする。
2 全ての市民が、相互に人格と個性を尊重し合いながら、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、第1条の目的を達成するために前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民があらゆる場面で手話による円滑な意思疎通を図ることができるとともに、ろう者の自立した日常生活及び地域での社会参加を保障するために必要な施策を講ずるものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、手話の意義及び基本理念に対する理解を深め、ろう者の人権を尊重し、並びにろう者と手話で円滑な意思疎通を図ることにより、暮らしやすい地域社会の実現に寄与し、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、手話の意義及び基本理念に対する理解を深め、ろう者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるとともに、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(手話の推進)
第7条 市は、次に掲げる施策について総合的に推進するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策
(2) 手話による情報の発信及び情報を得る機会の拡大のための施策
(3) 市民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための施策
(4) 手話通訳者の確保及び養成その他手話による意思疎通支援者のための施策
(5) 手話を学ぶ機会の確保に関する施策
(6) 災害時における情報の提供及び取得並びに意思疎通支援者に関する施策
(7) その他市長が必要と認める施策
2 市は、前項に規定する施策を推進するときは、ろう者その他の関係者の意見を聴くよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第8条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。