○丸亀市産業振興条例
(平成23年3月24日条例第17号)
改正
令和2年3月30日条例第15号
美しい瀬戸内海に開かれた好立地を活かし、丸亀は古くから、政治、経済、文化などにおいて重要な役割を担い、城下町、港町として栄えてきた。
 丸亀藩による「讃岐三白」と称される地場産品の塩、綿、砂糖の生産、流通の確立が豊かな地域づくりに寄与した。また、産業としてのうちわ、金比羅詣での港町として発展した商業、ため池構築による稲作の拡張、桃をはじめとする果樹栽培など、優れた先駆者と先人たちの努力により産業振興がなされてきた。
 近年は上場企業が経済界を牽引する役割を果たし、高度経済成長期には丸亀市も臨海地区を中心に企業誘致を行い、そして何よりも中小企業が地域経済を支え、丸亀市の産業形成がなされた。
 しかしながら、現在は地方経済も疲弊した状況が続いている。地方分権が進む中、国の経済政策に頼るだけではなく、自治体としての産業振興が重要な行政課題となってきた。
 丸亀市においても、工業、商業、農業、水産業、観光、伝統工芸などの産業は、地域資源が持つ価値を発揮させることにより、市民生活を支える雇用をもたらすなど地域経済にとって重要な存在である。
 そこで、自立する中小企業をはじめ、全産業の振興が丸亀市の更なる発展に欠かすことのできないものであることを共通認識し、地域環境の健全な構築を図りながら、すべての人の協働により、丸亀市民の生活維持・向上を実現するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、産業の発展が地域経済の活性化に果たす役割の重要性にかんがみ、産業振興に関する基本的な事項を定めることにより、産業基盤の安定・強化、中小企業の育成・発展、新規産業の創出、企業誘致、雇用の拡大等を図り、もって地域経済の健全な発展と市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 事業者 市内において経済活動を行うものをいう。
(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に定める事業者であって、市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。
(3) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に定める事業者であって、市内に事務所等(個人であって事務所等を置かない場合は住所)を有するものをいう。
(4) 産業経済団体 商工会議所、商工会、農業協同組合、漁業協同組合、観光協会その他の市内において経済活動または地域産業の振興を行う団体等をいう。
(5) 大企業者 中小企業者及び小規模企業者(以下「中小企業者等」という。)以外の事業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。
(6) 金融機関 銀行、信用金庫、協同組合その他の金融機関である事業者をいう。
(7) 教育機関等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に定める学校及び第124条に定める専修学校又は職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第16条第1項に定める公共職業能力開発施設をいう。
(基本方針)
第3条 産業振興は、事業者の自主的な創意工夫、自助努力をもとに、市、事業者、産業経済団体、金融機関、教育機関等及び市民が協働して推進するものとする。
2 地域の人材や技術などの資源を活かし、異業種間の連携や情報提供などにより、中小企業者等の育成を推進するものとする。
3 人材育成、勤労者の福利厚生の向上に努め、事業承継を含む地域雇用の確保を推進するものとする。
4 市の産品の地産地消及び市外における市場の拡大を図る地産外消を推進するものとする。
5 前4項に定めるもののほか、産業振興は、次に掲げる方針に基づき推進するものとする。
(1) 工業については、生産技術の高度化、知的財産の創造、保護及び活用並びに地域資源を活かした産学連携及び産産連携を推進する。
(2) 商業については、店舗の規模、営業形態等の違いによらず、地域に根ざし、共存共栄による活性化を推進する。
(3) 農業については、優良農地の確保、良質な農産物の供給を奨励するとともに、農地の持つ多面的な機能を活かした農業振興を推進する。また、担い手の確保、後継者の育成を推進する。
(4) 水産業については、水産品を安定的に供給していくため、瀬戸内の水産資源の情報提供、栽培漁業の推進及び後継者の育成を推進する。
(5) 観光については、地域の観光資源の創出に努めるとともに、既存の観光に関する情報を広く発信し、観光に関する産業の創出及び活性化を推進する。
(6) 新産業については、地元産業と学術研究機関等との連携を図るとともに、新たな産業分野への進出並びにベンチャー企業の創出及び育成を推進する。
(7) うちわをはじめとする伝統産業及び地場産業については、組織の強化、後継者の育成を図るとともに、更なる市場の拡大、発展を推進する。
(市の責務)
第4条 市は、前条の基本方針に基づき、産業振興にかかる計画を総合的に策定し、実施するものとする。また、その計画及び実施状況を公表するものとする。
2 市は、前項の計画実施に当たり、国、県その他の自治体との連携並びに事業者、産業経済団体、学術研究機関等、教育機関等及び市民との協働に努める。
3 市は、事業者の取り扱う物品、工事、役務、農水産物等の受注機会の増大に努めるものとする。
4 市は、産業振興を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
5 市は、中小企業者等が災害等に備えて実施する事業継続計画策定又は改定及び災害等が発生した場合における事業再開又は継続に対する取組を支援するものとする。
(事業者及び産業経済団体の責務)
第5条 事業者は、自助努力及び創意工夫により、公正で自由な競争を通じて事業の発展に努めるとともに、市または産業経済団体による産業振興に関する支援等を活用し、事業の活性化に努めるものとする。
2 事業者は、法令を遵守し、自らの事業活動に期待される社会的な責任及び役割を認識し、これに応えるよう努めるものとする。
3 産業経済団体は、事業者の事業活動を支援するとともに、自らの事業活動を通じて地域社会への貢献に努めるものとする。
(大企業者の理解及び協力)
第6条 大企業者は、中小企業者等が地域経済の活性化に重要な役割を担っていることを理解し、発注機会の創出等の連携・協力を深めることにより、市の地域産業振興への貢献に努めるものとする。
(金融機関の理解及び協力)
第7条 金融機関は、中小企業者等が事業の発展・活性化に取り組むことができるよう、資金調達の円滑化その他の経営の向上のための支援を行うとともに、市が行う産業振興施策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関等の理解及び協力)
第8条 教育機関等は、産学連携、人材育成、地域資源活用等に係る市の施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第9条 市民は、産業振興が地域を活性化し、市民生活の向上に寄与することを理解し、地域における産業の振興に協力するよう努めるものとする。
2 市民は、自らの消費行動が地域産業に与える影響及び効果を理解し、事業者の利用に配慮するものとする。
(産業振興推進会議)
第10条 市は、産業振興に関し、第4条第1項に定める計画策定など必要な事項を調査審議し、施策を推進するため、丸亀市産業振興推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2 推進会議は、委員25人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 識見を有する者
(2) 産業経済団体の関係者
(3) 事業者
(4) 消費者
(5) 公募による者
(6) 前各号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者
3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 委員に欠員が生じた場合の補欠の委員は、前任者の残任期間とする。
5 推進会議は、必要があると認めるときは、専門的知識を有する者の意見を求め、または関係者に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附 則(令和2年3月30日条例第15号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。